「大学生向け」は有効か
2016/09/11
ビジネスのターゲットとして大学生を選ぶ人はいるだろう。しかし就活以外ではほとんどうまくいく見込みがなく、20代の若者ぐらいまで範囲を広げたほうが良い。
大学生にもなれば社会人向けのものに触れる機会がぐんと増える。音楽の面では社会人バンドに入る人もいるし、読書の面ではビジネス書に手を出すようになる。趣味の面で大金をつぎ込むようになるため、大学生の生活というのは実は普通の社会人とあまり変わらない。
社会人を対象とした情報に触れる回数が高校までのそれとは違うので、アルバイトでの収入も考えると、社会人とみなした方が合理的である。
実 際、大学生といえども中身自体は普通の社会人とあまり変わらない。高校の延長線上といった方が適切で、マスメディアに流されるのも同じである。大学生らし い大学生なんて一割に満たないというのが現実で、大半の大学生は遊びまくる。学生向けのサービスというものは確かに存在するのだが、学生が消費するものの ほとんどは一般的な社会人と大差なく、大学生向けに商品を作るというのは愚策である。母数を考えた場合、一般の若者ぐらいにまで範囲を拡張した方が良い。
そ もそもの話、高校を出て初めて自由になるのが大学生なわけであり、社会生活の第一歩である。高校までとは違って授業は好きなだけサボれるし、恋愛したり学 生団体に入ったりするのも自由、はたまた卒業するかどうかも自由である。アルバイトで稼いで物を買うということも自由にできるようになるため、身の回りの あらゆるところに選択肢が出始める。その中の選択肢に社会人向けの物が無いほうが不自然であり、何かしらの形で社会に触れることになる。
大学生というのは20代若者の中に含まれるものであり、それ自体の母数は少ない。そのため就活ぐらいしか成功しやすいものがない。逆に就活ビジネスについて は、今の日本はどの企業も優秀な奴隷を欲しているので、効果てきめんである。偏差値の高い大学ほど駒として使いやすい人は多いため、学生を囲い込んでやれ ば利益が見込める。若者の多くはメディアリテラシーがなく、ちょっと工夫するだけで多くの大学生が釣れる。企業側は就活メディアに情報を出さないと会社の 業績が傾いているかのように捉えられてしまうため、掲載を依頼せざるをえない。上手い商売である。
大学生というのは名目上は学生であるが、 実際は大学に属しているだけであり、社会人の始まりと考えても差し支えない。学生とは言っても消費生活は社会人のそれと大して変わらない。若い社会人と違 う特別な何かがあるわけでもなく、ごく普通の20代の若者である。大学生と限定してしまうと母数が減るため、必然的に顧客の数を減らすことになる。どうせ なら若者全体を視野に入れるべきだと筆者は考える。