人材は資産ではない!? 良い組織を作る方法
2016/09/11
人材はフローでありストックではない。この事実に気付ける人は少ない。仕事というものはマニュアル化されるべきであり、誰が仕事をしてもいいように 仕組みづくりをするのが鉄則である。誰かひとりに頼るのはあまり良くなく、人材というものは変えが効かなければならない。そういう意味で、人材は資産だと いうのは間違っている。
人材は資産だというのは非常に聞こえがよく、ドラッカーのマネジメントにも書かれている。しかし良い組織を作ろうとするのならそれは間違いである。
もし人材が資産やストックと言われる類のものであれば仕事のマニュアル化などされず、各個人に独自の役割を与えるはずである。しかし現実では仕事はマニュアル化されており、また特定の一人に依存する行為も避けられている。つまり、人材はフローとなっている。
一 時期ドラッカーが話題になったのはあくまでも著書マネジメントがコンテンツとして非常に優れており、大衆受けする内容だったからである。筆者もエッセンス 版を読んだことがあるが、なるほどなといった印象を受けた。人材は資産だ、組織は自己実現の場だ、組織は社会貢献しなければならないなど、聞き心地がいい 箇所はあげればきりがない。会社にしがみつくサラリーマンからすればこういった内容がウケるのは容易に想像がつく。ブラック企業という言葉が流行っている 今ならなおさらのことである。
組織の仕事をある特定の一人に頼るというのは非常に危険である。もしその人物に何かあった場合、仕事が止まっ てしまう。リスク低減のためには誰でも仕事をできるようにしておくことが重要で、それができるのとできないのとでは安定性に大きな差が生まれる。柔軟性と いう面でもそれは重要で、誰でも仕事ができれば余った時間を利用して仕事を片付けることができる。その際、相手を一人の人間だと認識する必要はなく、ポイ ントを等距離で淡々と教えるのが一番である。
良い組織を作るためにはマニュアル化が鍵を握る。どのように説明すればいいかを記述してやれば メンバーは理解しやすく、また全員で知識を共有することもできる。フィーリングに頼って物事を進めていては人によって結果にばらつきが出てしまう。コンス タントに一定以上の結果を出すことは瞬発的に高い結果を出すことより重要で、その方が難易度は高いものの信頼性が高い。
一定の結果が保証されていれば頼りがいが出てきて非常に安心できる。感覚に頼った方法ではそれをすることはできないが、マニュアルで言語化すれば可能である。
仕事のマニュアルを作り、人材を流動的に利用できる仕組みが 組織を運営する上では大事である。組織の運営はいかにリスクヘッジをするかにかかっており、それを避けては通れない。ある人物に依存する組織というのは脆 く、ちょっとしたことがあるとすぐに機能停止してしまう。機会損失を防ぐ意味でもマニュアル化は大事であり、その方が健全かつ安全な経営ができる。大企業 においてはこれが顕著で、社員はただの駒であり会社の歯車となっている。
特殊な仕事というのは言語化しづらいものである。そういう仕事は大 抵他の人間も言語化できていない。そのような点こそ他者と差を付けるチャンスである。理解しやすい分野というのは他に手を付けている者が既におり、参入し てもあまり利益は見込めない。利益を狙うのであれば未開拓の分野を狙ったほうが良く、差別化が容易である。
良い組織においてはメンバーはた だの道具であり、財産ではない。人材を尊重するという言葉は響きがいいが、実際はやってはいけない行為である。組織として結果を出す以上は安定性が第一で あり、一人に頼る構造は危険である。組織の人材というのは取り換えがきく方が良いというのが現実である。
人材は資産だというのは理想論程度に留めておき、内部的には交換可能にしておかなければならない。