人間関係とコミュニケーションの教科書

はたらくあなたに伝えたい、人間関係の知恵とノウハウ

*

老害の駆逐は何をもたらすのか

   


老害という言葉が存在するように、多くの組織で年配者は邪魔である。日本では年功序列によって年配者に逆らえない風潮があり、これが若者を結構悩ませている。しかし、そうだからといって年配者を簡単に排除してしまっていいのだろうか。

年配者を排除することは一見していいことのように見えるが、そこには大きな落とし穴が存在する。老害の駆逐というのは結果主義の風潮を強め、努力や時間が評価されなくなってしまうのである。
若者の大半は能力がなく、努力する姿勢に対して給料が支払われている。つまり、年配者を追い出すことによって自分たちの首を絞めてしまうのである。

学校での教育は年功序列がベースになっていて、義務教育の範囲では一定の日数以上出席があれば自動で次の学年に進めるし、高校以降も似たようなものである。大学での講義も同様で、出席が点数になるという教科は多い。
結果主義というのはこういうのとは正反対で、出席や努力といったものは一切考慮されない。結果が悪ければ問答無用で失格となる、シビアな世界である。

若い人の中にはホリエモンを好きだという人がいるが、上述のことがわかっていない人が多いというのが現状である。
彼はもっぱらの結果主義者であり、年をとった人は組織にいるべきではないという考え方を持っている。このような考え方や発言に惹かれる人は多いものの、もし結果主義が広まってしまった場合、ほとんどの若者は食べていくことすらできない。若者は、老害は排除されるべきという言葉だけしか見ておらず、それによって自分たちの暮らしが快適になると勘違いしているのである。

結果主義の世界では極端に収入が多い人と収入が殆ど無い人の2つに分かれる。中間層というものは存在せず、富裕層か貧乏のどちらかしかない。
年功序列であれば収入が極端に多くなることはないが極端に少なくなるということもない。
つまるところ
結果主義=資本主義
年功序列=社会主義
といったところである。

実 力主義というのは、自分がいくら努力しても天才がいればその人に利益を全部持って行かれてしまう非常に残酷なものである。しかし、老害排除を唱える若者の 大半はこの事実を知らない。年配者というのは一見して邪魔なようであるが、その存在によって若い世代が生きているのである。
かつてソ連の社会主義がうまくいかなかったように、結果主義も極端になってしまえばその欠点を露呈することになるだろう。果たして若者はこの事実に気づけるのだろうか。

 

 - 仕事・労働, 生活, 経済 , , , , , ,