「~させていただきます」 の3つのデメリット
2016/09/11
近年、若者の間で「~させていただきます」と言う人が急増中である。
本来であれば「~いたします」でいいのに、わざわざそのように言うのだ。
その背景には失敗したくないという思考がある。
実際のところ、彼らはリスクを避けるどころか失敗しかしていない。
「させていただきます」と言うことは一見すると安全なように思えるが、それは間違いだ。
不必要な「させていただきます」は
・無意識に相手から逃げてしまう
・場合によっては間違った使い方になる
・正しい敬語が身につかない
といったデメリットがある。
まず一つ目について。
「~いたします」で済むところを「~させていただきます」と言ってしまうのは失敗を恐れる姿勢が出ている。
また、相手に対して恐怖心を抱いているようにも捉えられる。
つまるところ、へっぴり腰だ。
このような言動は不必要に下につくことで相手に主導権を渡してしまっているので、対等なやりとりが出来ない原因になる。
また、責任転嫁という印象を与えてしまい、誠実さが伝わらない。
相手からすれば邪険に扱われる以外のなにものでもなく、不快感極まりない。
まさに失礼といったところだろうか。
次に二つ目。
何でもかんでも「させていただきます」と言うのは実は危険で、「~しております」と言うところを間違ってしまう可能性がある。
例えば身内が不在のとき、外部の人に対しては「〇〇は席を外しております」と言うのが普通である。
しかし、させていただきますを連呼する癖があると、「〇〇はお休みさせていただいてます」などと言うことになりかねない。
当然ながらこれは失礼にあたるので、即座に直さなければならない。
一見すれば安全に見えるが、実は失礼にあたってしまうのだ。
三つ目。
むやみに「させていただきます」を連呼していては、敬語の使い方がいつまでも身につかない。
上記に示した通り、使っていい言葉とダメな言葉の区別がつかないというのは致命的だ。
敬語の使い方を覚えなければ大事な打ち合わせで主導権を失うことにもなりかねないので、ちゃんと覚えたほうが良い。
若いうちならなおさらのことで、これが歳をとってからだと大変なことになる。
新入りのうちはいくらミスしても見逃してもらえるが、いい年して失態を犯すと信用がガタ落ちする。
失敗するなら早いうちとはよく言ったもので、時間が経ってからだと直しづらくなってしまう。
思考が固まってしまうので、修正しようとしても身体がそれを受け付けないのである。
筆者は大学4年生の前期まで敬語がまともに話せなかった(!)が、必死になって勉強したところ、わずか1ヶ月で覚えることができた。
電話に率先して出たり上の人とかかわることにより、敬語から逃げられない状況をつくりだしたのである。
今では電話対応から面接まで何でも来いといったところだ。
普段の何気ない会話からきっちりとした行事まで、させていただきますを連呼する人は多い。
そのような言い方は誠実さがないし、何よりまわりくどい。
実際、筆者の先輩にもそのような人はいて、ため息が出るばかりである。
それどころか葬儀の会場でもよく見られる。
非常に残念でならない。
「いたします」や「おります」を使うことは間違ってないし、相手と対等なやりとりができる。
不必要に自分を安売りするのは相手に失礼でしかない。
「させていただきます」の濫用は百害あって一利なしだ。