電子データを買うのは寄付と同じだ!
Amazonなどで音楽の配信データを買う人が増えてきています。ひと昔前まではCDを売るのが主体でしたが、今は配信が世界的に主流となっています。
本に関しても電子書籍という形で販売されていて、お金を払ってデータを買う形式が今風の時代の買い物です。
CDや紙という有形の媒体が消えた取引にはお金の本質が現れています。
従来であればCDなどを買うことによって得られる所有感が買い物の中に含まれていました。
作品が良いからだとかアーティストに頑張ってもらいたいという気持ちは確かにありましたが、買う目的の中には所有感というものも少なからず存在しています。
さらに言えば家や車も同じです。
これらはみなアナログな存在をもち、消費者もそれを楽しむために買っています。
消費という概念の中に所有が含まれており、所有するために買うという意味合いが強いです。
作った人への敬意というよりは個人で占有するためにお金を出していたといえます。
しかし時代が変わり、データの有料配信など無形のものが取引されるようになりました。
無形である以上所有感というものはなく、消費者は純粋に機能や出来具合を見ることができます。
このため、物を買うというより単純に作者に寄付している印象のほうが強いのです。
このような取引は一見すればただ単に有形媒体がなくなったに過ぎませんが、消費者がアーティストの生活のためにお金を出していると考えることもできます。
すなわち、いい作品を作るアーティストに対して消費者が「頑張ってくれ」と言っているようなものなのです。
以前までは音楽=CDという図式がなりたっていて、かつCDを買う目的には所有感も含まれていました。
しかし今は違います。価値観が変化してきていて、所有というものはあまり意識されなくなってきています。
いい作品を作ろうと日夜仕事に励むアーティストに対してお金を出す。
これこそお金の正しい使い方です。
モノを買っていた昔と違って、作者の頑張りを買っているのです。
消費者がお金を媒介させることによって、作者への敬意を表していると考えることができます。
今までの買い物ではお金の使い方はあまり意識されていませんでしたが、有形媒体がなくなったことによりお金の真の意味について考えさせられることになりました。
お金は信頼を表すものです。配信販売や電子書籍はそれを忠実に体現しています。
電子データでの取引はお金というものの正体を明らかにしたのです。