語学教育改良は聞こえはいいのだが…
2016/09/11
英語教育の早期化、大学入試の英語試験の形式変更など、語学教育を良くしようとする動きは確かに出始めている。英語というのは言語空間的な意味で大切であるため、そのような動きがでることはごく自然なことである。TOEFLを入試に使おうなどという話も出ている。
しかし筆者からすれば、語学以前のところに問題があるため、語学力にも影響が出ているように思える。
語学をやる上で重要なのは背景知識である。どんな言語においても物事の背景がわからなければ論理構造も理解するに至らない。難しい学問の話が母国語でわからない人が外国語で内容を理解できるだろうか。
政治や経済の分野では特に顕著で、日本語で関連するニュースの記事を読んでおくと訳す際もスラスラ訳せる。
逆に知識のない分野は訳すことが難しく、何が起きているのかはほとんど説明できない。日本語で書いてあるとしても事の本質がわからなければそれまでである。
国 内・国外問わず、ニュースの理解には歴史的な知識が必須である。火のないところに煙は立たないように、何か事件が起こった場合その発端となるようなことが 過去に起きている。特に現代史の知識は現在進行形で起こっている問題の理解には不可欠である。中国の言論統制など、あげればキリがない。
その国は過去にどのようなことがあったのか、その国は社会主義か資本主義か。このようなことと現状を照らし合わせることで、物事の本質というものが見えてくる。
物事の本質を理解出来なければ、どんな言語を使ったとしても良い文章は書けない。母国語でもよいので、まずは様々な分野について広く学ぶことが重要である。母 国語であれば外国語に比べて理解しやすいので、本屋の政治・経済コーナーで本を買うと良い。一冊で得られる知識は少ないものの、読書と要約を繰り返しやる ことで語学に必要な知識は身についていく。半年続けるだけでもかなりの効果があるのでオススメである。筆者は政治関連の本を読んでいくうちに英字新聞の難 しい記事まで読めるようになってしまった。本の力は偉大である。
語学力の向上にあたっては、様々な分野の記事を要約したり考えを書いたりするのが一番である。まとめというものは意外とあなどれず、毎日繰り返すことで言語能力のみならず背景知識もついていくのである。また情報を取捨選択する能力もつくため、いいことづくしである。
言 語はあくまでも道具であり、それを使う側の人間に技術がなければ使いこなせない。背景知識を身につけるということは技能強化であり、それなくして言語とい うツールをうまく使えるということはありえない。言語教育を見直したいのであれば、一般教養のレベルから見なおさなければならない。